今日もキツネの嫁入りなり

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「深い学習」を組み込んだアクティブラーニングへ『ディープ・アクティブラーニング』レビュー

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人を育てるという場面は、学校の先生以外でも、多くの人が遭遇すると思います。例えば、子育てや部下の育成、部活の後輩など。社会は教え合いで成り立っているといっても過言ではありません。

教育は時代と共に大きく変わっていくものです。100年前の人が現代にやってきたらそのギャップの大きさに驚き混乱することでしょう。また、100年後の未来人が現代にきても、同様のリアクションをすると思います。

そんな移り行く教育業界で、最近よく話題になるアクティブラーニングについての本「ディープ・アクティブラーニング」を読みました。少し難しい部分などもありましたが、教育者はもちろんのこと、学びの消費者である全ての学生にも読んでほしい本です。

 

 

本の目次

序章

  1. アクティブラーニングとは
  2. アクティブラーニングの抱える問題
  3. 知識と活動の関係
  4. 「深さ」の系譜
  5. 各章へのイントロダクション

第Ⅰ部 ディープ・アクティブラーニングの理論的基盤

第1章 アクティブラーニング論から見たディープ・アクティブラーニング

  1. アクティブラーニングとは
  2. アクティブラーニングの質を高めるための実践的動向
  3. どこでディープ・アクティブラーニングが必然となるか

第2章 関与の条件

  1. 「学生の関与」という言葉を定義する
  2. 関与と動機づけ
  3. 関与とアクティブラーニング
  4. 深い関与を施す3つの条件
  5. 結論

第3章 学習の教授学習理論に向けて

  1. 学習対象のバリエーションの重要性
  2. 学習と識別
  3. バリエーションと同時性
  4. 学習対象と学習空間
  5. 学生の学習にとって本質的なものは何か
  6. 条件間の差異と個人間の差異
  7. 学習を可能にするもの
  8. 学習のバリエーション理論

第4章 協同による活動性の高い授業づくり

  1. 協同学習の理論
  2. 協同学習の技法
  3. 協同学習の効果と評価
  4. LTD話し合い学習法を活用した授業づくり
  5. 深い変化成長を実感できる授業をめざして

第Ⅱ部 さまざまなフィールドでの試み

第5章 理解か、暗記か?

  1. 初修物理学教育の問題点
  2. ピア・インストラクション
  3. 結果
  4. 講義を古い形式から新しい形式に変える
  5. 結論

第6章 コンセプトマップを使った深い学習

  1. 取り組みの背景
  2. 深い学習とコンセプトマップ
  3. コンセプトマップを使った授業のデザイン
  4. コンセプトマップの学習ツールとしての意義
  5. 評価ツールとしてのコンセプトマップ
  6. コンセプトマップの評価のためのルーブリックの開発
  7. ディープ・アクティブラーニングのためのツールとしてのコンセプトマップの有効性

第7章 意味のある学習を意識した授業デザイン

  1. 実践編
  2. 検証編
  3. むすび

第8章 教室と現場をつなぐPBL

  1. 2つのPBL
  2. PBLの実践
  3. PBLに対する学生の認識
  4. PBLにおける学習成果の評価
  5. ディープ・アクティブラーニングを目指して

第9章 新しいリーダーシップ教育とディープ・アクティブラーニング

  1. 新しいリーダーシップとは何か
  2. 新しいリーダーシップ教育は広義のアクティブラーニングを発生させる
  3. 新しいリーダーシップ教育科目ではディープ・アクティブラーニングも生まれる
  4. アクティブラーニングは学生側の新しいリーダーシップを前提にしている
  5. リーダーシップ教育としてのアクティブラーニング支援
  6. 「補助輪」メタファー
  7. 「内向的な人」とアクティブラーニング

 

こうみるとけっこう長いですね…

僕は読むのに1週間程かかりました。ただ、それは教育系の勉強を大学で専攻しておらず、事前知識が乏しかったからだと思います。アクティブラーニングについて少しは調べたことがありましたが、基本的な教育論に関しては全くの無知でした。でも、内容の難しさのわりには、分かりやすく述べられているため、僕は理解しやすかったと思っています。

 

この本にはピア・インストラクションや反転学習、PBL(problem based learning)など具体的な授業デザインについても説明があります。また、それらはどのくらい効果があるのかという結果や評価法についても載っています。

 

アクティブラーニングを学ぶ、さらに広くいうと、教育について学ぶ。これは、教育者だけでなく、学生にとっても大きなメリットがあると考えています。教育について学ぶと、自分自身はどうすれば良いのかが見えてきます。授業を受動的に受けるのではなく、能動的な学習にする。これはたとえ座学形式だったとしても、学生の意識によって変えることができ、学習の効果が向上します。しかし、先生から「能動的に受けてね」と言われたって学生が従うはずがありません。真面目な人は努力すると思いますが、本当の意味でのアクティブラーニング(能動的学習)は本人の意識次第です。その意識を変えるための一つの手法として「教育を学ぶ」が存在するという考えです。
また、大学の授業デザインを知ると、教授の意図がわかるという面白さもあります。

 

そして、これらは子供の教育にとって必須な知識だと思っています。はっきりいって、子供の成長は親に依存しています。学校は教育のアウトソーシングだと聞いたことがありますが、メインは親です。また、学校では環境の違い少なく、みんな同じように育っていきます。よって、良い意味で差をつけられるのは親しかいません。是非、一読することをお勧めします!